底付師のオールソール工房

昭和三十六年
初代店主 佐藤正利
平成二十三年
二代目店主 村上塁

珍しいオパンケ製法、マグナーニのオールソール

変則的な製法のマグナーニのオールソールです。外踏まずから前足部にかけては単純なマッケイ製法(中底と本底を直接縫い合わせる製法)ですが、外踏まずのみ手縫いのオパンケ製法になっています。元々、意匠の意味合いが強い製法ですがここからは土踏まずのアーチをしっかりホールドして歩行をサポートするというブランドの意思が読み取れます。

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オパンケ製法とは写真のように本底(地面と接する底部分)がアッパー(靴を置いて横から見たときの底より上の部分で、表革と裏革の二層構造が基本)に覆い被さっていて、その本底とアッパーとを直接縫い合わせる製法です。

この製法では縫い合わせていく糸を通す前段階でまず特殊な形状をした南京針(下の写真)で本底とアッパーに下穴をあけていきますが、ここで難しいのが南京針をアッパーの表革のみに通すことで、体が覚えている動きと針先の感触のみを頼りにしていきます。

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本底とアッパーに下穴をあける南京針

南京針で糸を通す下穴をあけたら、縫いです。うための糸を作り、糸に塗り込ませる松ヤニを作り、先程の南京針も全て職人が作るのです。そして特殊な縫い方で縫っていくのですが、実は縫い上げる
‥勿論作るとは言っても原型や原材料はあってそれらを縒ったり、焼き曲げたり、溶かしたり、研いだり、要は加工して使えるまで育て上げるという意味です。

製法や道具の話になると語ってしまうのでまたの機会に…w