底付師のオールソール工房

昭和三十六年
初代店主 佐藤正利
平成二十三年
二代目店主 村上塁

60年前の子供靴の修理|ヴィンテージスチール編

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こちらの子供靴が製造された当時は、戦後から間もなくで合成ゴムの技術が今ほど進んでおりませんので靴底は全て革底(レザーソール)になります。さらにリフトも革に鉄釘とスチールのみを打ち込む潔さ、まるで古き良きアメリカの雄「フローシャイム」のようです。

このリフトのスチール、現行版の靴では余り目にしない減り防止のトライアングル スチール(他にも三日月型スチールもあり)です。

現在は爪先スチール(別名ヴィンテージスチールと呼ばれるが、正確には現行品なのでヴィンテージスチールが正しい) が流行っておりますが、一昔前は爪先ではなく踵にスチールを付けるのが当たり前でした。

 

当店のお客さまのお話を伺っておりますと、現在の70代・50代それぞれの若い時分に計二回流行ってきたようで、わざと緩く取り付けてカチャカチャ鳴らして歩くのが洒落者という時代もあったようですw

しかし当時の百貨店が、踵スチールが床の大理石を傷付け、割るといった理由で出禁にしてしまい、これが踵スチールの廃れた大きな理由の一つだそうです。

 

このような経緯を知って頂いた上で、当店に先代から譲り受けたトライアングルスチール(本物のヴィンテージスチール) があることをお話しますと、ぜひその踵スチールを付けてほしい!という靴好きの方がいらっしゃいますが当店ではお勧め致しません。

なぜなら

当時は、今程にインフラ整備がされていなかったために歩行時に最初に接地する踵にスチールがあってもさほど滑らなかったようですが、現在の駅やビル内のタイル上では想像以上に滑るため大変危険です。接地時間が短く、滑る恐れも少ない爪先スチールへと場所を移していったのもそのせいでしょう。

 

なお、今回のオールソールでは、再び子供が安全に歩けるようにとリフトが半革半ゴムの山形仕様となりました。依頼主様のお心遣いですね、共に100年目指しましょう♪

 

こちらが本物のヴィンテージスチール(トライアングルスチール)です。

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