底付師のオールソール工房

昭和三十六年
初代店主 佐藤正利
平成二十三年
二代目店主 村上塁

ステファノ ベーメルのビスポークのオールソール②

今回も少し専門用語が目立つかと思いますが
飽きずに読んで頂けると嬉しいです。

十分(出し縫いが全て手縫い)の靴のため出し縫いも手縫いとなります。
当初縫われていた糸の太さを考慮して5本よりの麻糸を使用します。
あまり知られていませんが
底回りを縫う糸は基本職人が作り上げるものです。
ただし最近は化繊の糸を使う職人も増えており
その場合は糸作りの手間が少し省けます。(理由はまたの機会に)

ここからは行程が多いので箇条書きになります。
・靴の大きさから約3ヒロ(両腕を左右に大きく広げた長さが1ヒロ)の長さの麻糸を切り取ります。
・先端の針を付ける糸口部分の縒りを戻してガラスと金ブラシで透きます。
・チャン(松ヤニから作り、季節毎に作り替える)を糸に塗り込み再度縒り直します。
・金針(針を火で炙り弧状に曲げて作る)を両端に付けます。
・チャンの効き過ぎにより滑りが悪いので蝋を上から引きます。
概ねな感は否めませんが、上記により縫い上げる糸の完成です。

ただし私の行程は一端に過ぎません、靴作りは伝統工芸品に
近いものがありその職人が技術を修めた国や師事した職人により
道具も違えば持論も異なります。
だからこそ奥が深まり、潜るほどに迷路となるのですねw

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